ストーカーを取り締まる

今年1月の通常国会の冒頭、総理の所信表明演説(政府が、今開会中の204回国会で何をやるかを表明する総理の演説)でも「ストーカー規制法を改正し、違反行為をGPSによる位置情報の取得にも広げます」と触れています。

2月26日には「ストーカー規制法改正案」が閣議決定されました。官邸のHPに、日にちごとに閣議で決まった内容がでています。「法律案」という小見出しの一番上にあります。(警察庁)とは警察庁が所管、作った法律という意味です。https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2021/kakugi-2021022601.html

2020年7月に、元交際相手らの車に無断でGPSを取り付けて居場所を知ることだけでは、ストーカー規制法には当たらない最高裁判所(裁判所としての最終的な結論をだす場所)は判決を出しました。「GPS」と法律に明記されていないので、どう考えてもストーカー行為ですが、それだけではダメということらしいです。

詳しくは☞ http://legal-supports.agu.ac.jp/blog/yoshie20210210001/index.html http://legal-supports.agu.ac.jp/blog/yoshie20200723001-10987/index.html

これが、あまりに一般の感覚からずれており、早急に法改正が必要との批判を受けて、警察庁の「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する有識者検討会」が動き出し、大学の先生や被害者家族が入って議論しました。

そして、今年の1月に「ストーカー行為等の規制等の在り方に関する報告書」を公表。その中で、

【規制の方向性】
GPS機器等を用いた位置情報の取得行為については、相手方に大きな不安をもたらし、更なるつきまとい等や犯罪に発展するおそれがあることから、ストーカー規制法を改正し、規制対象とすることが適当である。
GPS機器等を用いた位置情報の取得行為の規制の仕方としては、ストーカー規制法第2条第1項各号に列挙されている「つきまとい等」に位置付けることが適当である。

と結論づけました。そして、この報告書を受けて、改正案が国会に提出されたという流れです。

ところで、このストーカー規制法には、法律が作られた時から指摘され続けてきた問題点があります。http://legal-supports.agu.ac.jp/blog/yoshie052305/index.html 「恋愛感情」や「怨恨の感情」が必要だったり、「代行ストーカー」は想定されていなかったり。今回の改正には含まれていません。

現実のストーカー行為のほうがどんどん形態を変えていき、それに法律がおいつけない状態です。今回はGPSですが、ちょっと時間がたてば、GPSの定義にあたらないもっと性能のよいストーカー機器がでてきてしまう。人を処罰する法律は、明確に規定しておかないといけない。だからこそ、態様を変えていく実態に対応するには、常に検討し続けるしかないと思います。

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