民間のレポートによると、2019年度には6名の国家公務員の過労死が発生。昨年8月に発表した調査結果(「コロナ禍における政府・省庁の働き方に関する実態調査」では、回答者の約4割が「過労死レベル」である「単月100時間」を超える時間外労働。メンタル疾患の罹患率は民間企業の3倍。https://work-life-b.co.jp/20210422_11719.html リモートワークが推奨されるコロナ下でも、テレワーク禁止が35%。働き方改革を主導する省庁が、実は一番遅れている。「ブラック企業」が常態化しています。(2022年5月に加筆した箇所)

国家公務員の実態 ▼「3割」が残業代を正しく支払われていない ▼残業の原因は国会議員の質問通告の遅さとアナログさ質問通告の「2日前ルール」は「守られていない」85% ▼「オンラインで議員レクができる」と答えた人は17%から67%に急伸 ▼議員とのやり取りがFAXではなくメール等に」は14%から69%へ急伸 ▼「テレワークを全くしていない」4割、「テレワークを禁止等されている」35% ▼残業代不払いに「諦め」71%、「モチベーション低下」42%、「転職先探し」26%
https://work-life-b.co.jp/20210422_11719.html
若手の離職率は6年前の4倍。2021年度の国家公務員採用試験では総合職申込者は14.5%減少し、5年連続の減少で、減少幅は過去最大。こんなブラックな職場、敬遠されて当然ですが、これが続けば国民生活に大きな支障がでてきます。
霞が関の働き方改革は、 育児中の官僚など問題意識を持つ有志が集まって検討がはじまり⇒⇒⇒「霞が関の働き方改革を加速するための懇談会」で「霞が関の働き方改革を加速するための重点取組方針」とりまとめられhttps://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_hatarakikata/index.html ⇒⇒⇒「霞が関働き方改革推進チーム」で検討されました。https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_hatarakikata/archive_kaikakusuisin.html https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/jinji_hatarakikata/kaikakusuisin.html
2021年9月に人事院と内閣人事局の30歳代8人でつくる検討チームを発足させ、2022年4月には「カラフルな公務を目指して― 誰もが貢献できる持続的な職場へ ―/“人人若手” 未来の公務を考える若手チーム」を人事院総裁と国家公務員制度担当の大臣に提言しています。wakate_honbun.pdf (cas.go.jp)
少しずつですが、変わろうとしています。
この提言に「Ⅱ. もう、ブラックとは言わせない」「13 国会にお願いしたいこと」という項目がでてきますが、やはり一番の課題は国会対応です。委員会審議の前に、その委員会メンバーの国会議員は、何を質問するかを省に伝えます。その質問通告の締め切りが、減速委員会の二日前と決めています。通告された質問をもとに、担当部署は答弁案を作成し、委員会での審議に備えます。
でも、実際には特に野党の通告は遅いと言われています。
「国会議員の質問通告が遅くなる背景には、国会の日程が直前まで決まらないことがある。野党は与党に対抗する手段として、与野党の協議で決める国会日程について、直前まで交渉を続けているためだ」https://www.businessinsider.jp/post-233617 国対戦術上、どうしてもこうなってしまう。
その結果、質問通告が遅い政党は野党ばかりになってしまいます。与党は、ぎりぎりまで交渉する必要がないので、質問通告を早く済ませられるのは当然ですし、質問時間を放棄することもあります。放棄すれば、官僚は答弁の準備をする必要がなくなりますが、国会議員としての役割の放棄にも見えます。そもそも与党は質問自体を政府に作ってもらうこともできます。となると、質問通告を早くすることを「議員を正すこと」と言い切ってしまってよいのか。野党に与党とは交渉せずに、政府の言いなりになるようにとも読めます。
議員のあいさつ文依頼、厚労省に1年で400件「へそ曲げぬよう…」:朝日新聞デジタル (asahi.com) 数字等事実確認ならまだしも、国のお金で公設秘書を雇っているのですから、こういう時こそ活躍していただきたいです。
このままブラックな霞が関のままでよいはずがありません。
野党が与党に対抗する国対戦術の手法を、今の日程交渉等以外にも何か与えること、制限するのではなく、付与するような改革はできないでしょうか。国会審議も、国民から見ても関心が持たれる契機になるし、結果的に、国家公務員の働き方改革が進むのではと思います。立法府、行政府という統治機構の話なので、矮小化せずに、当事者の国会議員だけに任せずに、広く議論が起きればいいのにと思います。
人間にやさしい施策は、人間らしい職場で生まれてくるのだと思います。今も霞が関では、コロナ対策、経済活動を元に戻すために、そしてこの後続く、臨時国会、通常国会の準備のために、日夜働いています。乗り切れるようにと願うばかりです。