日本スポーツ協会の2019年の調査では、スポーツの現場でセクシュアルハラスメントを見聞きしたという指導者は約3割に上りました。見聞きした指導対象を年齢別でみると、未成年が3割を上回り、成人(大学生年代を除く)よりも多い、学校運動部の指導者に、⾒聞きされる割合がやや⾼い、ハラスメントの背景に「指導者の⼈間性・⼈格」や「被害を訴えにくい関係や環境」があるとされていました。https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/katsudousuishin/doc/A_summary_of_online_survey.pdf

スポーツ現場でのハラスメントは、①教育や指導の一環として見過ごされやすい、②閉鎖的で外部からはわかりにくい、③当事者をめぐるスポーツ界特有の利害関係といった特徴があり、さらに表にでにくいと言われています。
「 日本のスポーツ界における セクシュアル・ハラスメントの実態と防止のための課題 熊安貴美江(2018年)」 file:///C:/Users/Watson/Downloads/2019000103.pdf ⇒⇒⇒ これによると「男性」よりも「女性」の方が、そして 「中高年層」より「若年層」が、セクハラに対して許容的」、「構造的に被害者になりやすい女性や若年層の方が、セクハラに対して 許容的な傾向を示したことは、海外の先行研究とは逆の、日本に特徴的な傾向 であった。 女性や若年層が 権力に追従することで、スポーツ環境に生き残る道を選んでいるとも 解釈できる 。」と若年女性がより深刻な状況に置かれていることが指摘されています。
まずは、スポーツにおいてハラスメントが在ることを周知することから。 日本スポーツ協会女性スポーツ委員会では、2018年度に策定したアクションプラン2019-2022の取組みの一つとして、「ハラスメント防止に向けた普及・啓発」に取り組むこととしており、HPに大きく「スポーツ現場におけるハラスメント防止動画」がのってます。その一つに「ch4セクシュアル・ハラスメント_ジェンダー・ハラスメント」もあります。https://www.japan-sports.or.jp/women/tabid1331.html
スポーツにおける暴力行為等相談窓口 日本スポーツ協会では、スポーツ現場における(セクハラ)を含む暴力行為等に関する相談に対応するため、スポーツにおける暴力行為等相談窓口を設置しています。この窓口で対応できる内容は公認スポーツ指導者やスポーツ少年団登録者による当協会倫理規程違反事案等ですが、対象事案の場合には、その内容に応じて、加盟団体等との連携により事実確認を行い、暴力行為等が明らかになった際は、然るべき対応(処分等)を行います。https://www.japan-sports.or.jp/about/tabid983.html https://www.japan-sports.or.jp/women/tabid1331.html このアドレスの下のほうに、利用方法が書かれています。
スポーツにおける暴力・ハラスメント等相談窓口一覧(文部科学省HP)https://www.mext.go.jp/sports/content/20210430-spt_sposeisy-000014419_1.pdf 【所属先別ごとの相談窓口一覧】 ①地域のスポーツ少年団や総合型クラブにおける困りごとを相談したい場合、②中学校・高校の部活動における困りごとを相談したい場合、③大学の部活動における困りごとを相談したい場合、④トップアスリートが相談したい場合 それぞれの相談窓口がのっています。 【競技の種目別相談窓口一覧】 ものっています。
https://real-sports.jp/page/articles/268242620164080797 2018年1月、アメリカ体操連盟の元ドクターが未成年を含む150人以上に対して性的虐待を加えたとして、最長で175年の禁錮刑を言い渡されました。とてもショッキングな事件でした。アメリカにはセーフスポーツと呼ばれる通報システムがありましたが、機能していなかったために、ここまで多くの犠牲者を出すことになったと指摘されています。それでは、どうやって性的虐待を防げるのか?この記事の筆者は、組織がハラスメントの訴えに適切に対応しなかったことを理由に、経済的ダメージを受ける仕組みによって、虐待防止と通報システムの実効性をはかるようになるのではと提案しています。
スポーツ指導者による性暴力について、日本では、性犯罪刑法改正の議論の一つの論点になっています。今の刑法の「監護者性交等罪」では、監護者に該当すれば、「暴行・脅迫」がなくても成立する可能性があります。ただ、この「監護者」が限定すぎると批判されています。ここにスポーツの指導者などを入れることができないか、法務省でも検討しています。詳しくはまた別途。