教師や指導者の性暴力から子ども達を守る

わいせつ行為などで懲戒処分を受けた公立の小中高校などの教員は、2018年度は282人と過去最多、2019年度には273人でした。今年5月には「わいせつ教員対策新法」が成立。わいせつ行為で懲戒免職になった場合、これまでは3年たてば再取得できましたが、今後は、免許失効者から再交付の申請があった際、都道府県教委は専門家らによる「教員免許再授与審査会」で意見を聞いた上で「適当である場合」に限り、再交付できるとし、各教委に再交付の可否の「裁量権」を与えることにしました。再交付の可否を厳格に判断できるかがポイントになります。 https://www.jiji.com/jc/article?k=2020122200864&g=soc&p=20201222ax06S&rel=pv

http://sports-law-seisaku.jp/thesis/27/27.pdf に少し古いものですがスポーツセクハラ裁判事例がまとまっています。                                            ▼2010年1月21日、教え子の女子中学生を強姦、元スケートコーチに懲役7年(産経新聞)*日本フィギュアスケーティングインストラクター協会の理事が指導していたコーチが指導を受けていた13歳の女子中学生を自宅で暴行した事案。                                                                     ▼2008年5月21日、(剣道部)顧問のセクハラ、賠償命令(朝日新聞)*中学の剣道部員であった元部員の20代の女性3人が、中学時代の剣道部顧問に対し、体罰やセクハラ行為で損害賠償請求をし、認められた事案。                                                                              ▼2008年5月12日 、スキー合宿部屋で小5女児にわいせつ、72歳の元順大客員教授を逮捕(産経新聞)*子どもたちにスポーツを通して「生きる力」(自らやる力)を育てようと、若者たちとNPOを設立した理事長の起こした事件                                                                       ▼2005年11月12日、小6女児にわいせつ行為、バスケ監督の市職員逮捕(産経新聞)*スポーツ少年団のミニバスケットの指導者による児童に対する強制わいせつ事件。           ▼2004年12月3日、大分・中津工のわいせつ事件、元陸上部監督、2審も実刑(毎日新聞)*著名なスポーツ指導者による女子高生対する強制わいせつ事件。                 ▼2007年9月14日、顧問教諭は停職に、PK外して全裸ランニング、大阪(朝日新聞)*男性指導者の高校男子選手に対する事案。

このような教員と生徒、部活やスポーツの監督、指導者と教え子といった一定の地位・関係性を有する者による性暴力については、法務省の「性犯罪に関する刑事法検討会」でもとりあげられてきました。現在の刑法では、13歳以上であれば、被害者が激しく抵抗しないと犯罪にはなりません。でも、選手生命を握る監督や、毎日通う学校の先生といった一定の地位・関係性を有する人を相手に、子ども達が抵抗することができない、恐怖のあまりフリーズしてしまう、黙って従ってしまうことは、普通にあり得ることだという実態から、法務省でも見直しを検討する論点の一つにあがっています。5月に公表された「とりまとめ報告書」https://www.moj.go.jp/content/001348762.pdf の13頁~

✔子供にとって、学校の教師、スポーツの指導者等からの被害は、抵抗すると子供自身の生活環境や生活する社会が壊されるというリスクがある
✔地位に基づく力の濫用である点や加害が繰り返されることが多い
✔教師の立場にある大人が生徒の立場にある子供に対し、恋愛ならば性的行為が許されるのか                                                ✔教師と生徒は対等なではないから、両者の間に真摯な恋愛は成立しない
✔教師は、教員免許に基づいて、子供にとって家庭生活に次いで比重の大きい学校生活を預かっており、子供に対する責任・影響力は大きい

ー教師・生徒の関係であっても、生徒が高校生の場合には、同意の有無を問わずに一律処罰することは適切ではない
ー未成年者であっても不完全ながら性的自己決定の能力はあり、性的な興味に従って行動することも一つの権利である
ー教師といっても、児童との関係性は多様で影響の程度に濃淡があることから、一律に処罰することには疑問がある
ーいわゆる性交同意年齢との整合性

【1】相手方に対する影響力の程度や当事者間の関係性を個別に認定し得るような一定の力関係や地位・関係性,あるいは,地位・関係性を悪用・濫用する具体的な行為,例えば,誘惑的・欺罔的な手段を用いることを要件とすることが考えられる
【2】いわゆる淫行条例に関する最高裁昭和60年10月23日判決を参考に、「誘惑し,威迫し,欺罔し,又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により性交等を行った者」とする方法や、刑法第248条の準詐欺を参考に、「未成年者の知慮浅薄に乗じて性交等を行った者」と規定する方法が考えられる                                  ※成長が著しい中学生と高校生とでは異なる配慮が必要

刑法は権利・自由を奪う非常に強力なものだから謙抑的であるべき。大学で習った言葉が頭に浮かびます。性暴力は魂の殺人とも言われます。深刻な被害が発生しているのに、処罰されない状況を放置する社会であってはいけないと思います。性犯罪刑法の改正が難しい理由は、刑法の原則の難しい話ではなくて、もっと身近な私たちの意識や社会の仕組みにあるような気がします。…モヤモヤしますが、性暴力から子ども達を守らなきゃいけないのは絶対に譲れません。

スクールセクハラ相談窓口                                       スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク 提言 – NPO法人 SSHP全国ネットワークホームページ (jimdofree.com)                                      神奈川県 県立学校におけるセクシュアル・ハラスメント相談窓口 – 神奈川県ホームページ (pref.kanagawa.jp)                                           大分県 スクール・セクハラ相談窓口 – 大分県ホームページ (pref.oita.jp)                  長野県「なくそう!スクール・セクハラ」P21 untitled (nagano.lg.jp)

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