「性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)に係る罪を新設すること。」これは、性犯罪の刑事法改正について9月16日に法務省の法制審議会に諮問された内容の一部です。001355920.pdf (moj.go.jp)

今年5月に「性犯罪に関する刑事法検討会」が公表した「性犯罪に関する刑事法検討会」取りまとめ報告書001355922.pdf (moj.go.jp) のP23では、
「グルーミング」とは,手なずけの意味。子供に接近して信頼を得て、その罪悪感や羞恥心を利用するなどして関係性をコントロールする行為 ㋐SNS等を通じて徐々に子供の信頼を得た上で、会う約束をするなどして性交に及ぶ ㋑子供と近い関係にある者が、子供の肩をもむといった行為から始め、断りにくくさせた上で徐々に体に触れる ㋒子供と面識のない者が公園等で子供に声を掛けて徐々に親しくなる
<特徴>子供は被害に遭っていることを認識できない
◎◎ 新たな罰則の創設に賛成の意見 ◎◎
① グルーミング行為は、それに引き続いて性的な接触や搾取が行われる可能性が非常に高く、被害を受けた子供は、被害の継続により心身に有害な影響を受けることから、法的に規制すべき
② 外形上正当な行為をその目的だけに着目して処罰することについては慎重な検討が必要だが、SNS等に氾濫している書き込みのうち、特に児童買春に直結するような危険性を有するものを類型化して処罰する余地はある
✖✖ 新たな罰則の創設に反対の意見 ✖✖
③ 法益侵害又はその危険性が認められない行為の処罰は正当化できないところ、子供に連絡をしたり面会を求めたりする行為は、常に客観的に性的な危険性をはらむものではないから、そのような価値中立的な行為を行為者の目的を根拠に処罰することは、行為者の主観面だけを根拠に処罰することになりかねず、理論的に正当化が困難
▲▲ その他 ▲▲
④ グルーミング行為に対しては、いわゆる自画撮りの要求行為を処罰する都道府県の青少年保護育成条例や、児童ポルノ製造を処罰する児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律など、現行の罰則の活用も検討されるべき
⑤ グルーミング行為の後、実際に子供にわいせつな行為が行われた場合には、グルーミング行為は計画性等の悪質な情状になり得るところ、捜査機関等がグルーミングのプロセスを理解して、適切にその評価がなされるようにすべき
イギリスとドイツのグルーミングに関する規定は、☝と同様の問題意識を踏まえた条文になっています。いろいろ細かく規定されています。👉 (資料59)いわゆるグルーミングに関する諸外国の規定(仮訳) (moj.go.jp)
あのお堅い法務省がグルーミングの規定を検討していると知った時は、正直意外でした。…それだけ深刻な被害が発生しているということでもあります。