「生理の貧困」という言葉

経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女の子がいることを「生理の貧困」と内閣府のHPでは説明しています。経済的な理由で買えない物は生理用品以外にもあります。なぜ、生理だけ「生理の貧困」として取り上げられ、ここまで社会問題になったのでしょうか。

生理期間中は生理用品は必需品で、手に入らなければ日常生活が送れなくなります。にもかかわらず、手に入らないのは、経済的な貧困だけでなく、性教育という思春期を迎える子どもにとって不可欠な性に関する情報の欠如、ネグレクトといった家庭の問題や自分自身のケアが難しい精神的な問題など様々な問題が関わっています。これらの複雑な背景を持つ「女性の貧困」を象徴的に表しているのが、「生理の貧困」です。更年期世代も抱える「生理の貧困」 支援から見えた女性困窮の実態(飯島裕子) – 個人 – Yahoo!ニュース

自治体側からすれば、本当は支援を必要としているのに、行政の支援が届かない層とつながるきっかけとして「生理の貧困」をとらえている面があります。
地方公共団体の取り組みはこちらに紹介されています。「生理の貧困」 | 内閣府男女共同参画局 (gender.go.jp)

厚生労働省は「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」を行い2022年3月に公表しました。
◆「新型コロナウイルス発生後(2020年2月頃以降)、生理用品の購入・入手に苦労したこと」が「よくある」「ときどきある」のは回答者の8.1%(244人)。
✓「よくある」「ときどきある」の割合は、年代別にみると30歳未満で、世帯年収別にみると300万円未満の者で、それぞれ高くなっていた。
✓購入・入手に苦労した理由は「自分の収入が少ないから(37.7%)」「自分のために使えるお金が少ないから(28.7%)」「その他のことにお金を使わなければいけないから(24.2%)」等。
◆居住地域で行われている生理用品の無償提供の認知については、生理用品の購入・入手に苦労したことが「ある」人のうち、制度があるかが「分からない」は49.6%であった。
✓制度を知っている人のうち、利用したことがある人は「17.8%」のみであった。
✓市区町村での無償提供を知っていたが利用しなかった理由として「必要ないから(69.8%)」の他、「申し出るのが恥ずかしかったから(8.5%)」「人の目が気になるから(7.8%)」「対面での受け取りが必要だったから(6.2%)」。

厚生労働省「『生理の貧困』が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査」結果 000917682.pdf (mhlw.go.jp)

この結果によると「申し出たり」「人の目」「対面」が壁になって支援が必要な人に届いていないようです。当然のセルフケア。それが難しければ、支援を受けるのは当然という教育と社会意識が必要なのだと思います。

「生理の貧困」という言葉は、先進国日本の経済的な貧困問題と、それだけでなくこれまで社会でおおっぴらに語られることのなかった女性特有の性が持つ大変さ、そして、ケアされるべき女性の性という面までを内包しています。女性の生きづらさを可視化する一つの言葉だと思います。

生理の貧困」の相談は、お住まいの自治体に連絡をしてみてください。各自治体での取り組みも進んでいます。
民間の取り組みも 
⇒5000円相当の奨学ナプキン配布へ 「生理の貧困」問題で大王製紙「心のケアも」 – SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

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