男性の育児休業取得は法改正で効果があるのか?

208回通常国会の法案一覧を見ると、「育児休業」の文字が複数個所で見つかります。「国家公務員育児休業法・育児休業労働者福祉法・雇用保険法改正」「裁判官育児休業法改正」「地方公務員育児休業法・育児休業労働者福祉法・雇用保険法改正」

昨年の通常国会で成立した「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」の国家公務員版、裁判官版、地方公務員版になります。

厚労省の「育児・介護休業法の改正について」によると、2021年6月に公布された改正法の主な目的は「男性の育児休業取得促進」。
背景には、
❶約5割の女性が出産・育児により退職している。
➋日本の夫の家事時間は国際的にみて短い。
❸男性の育児休業取得率は12.65%と低い。
育児休業を取得しなかった理由は「収入を減らしたくなかったから」「取得しずらい雰囲気だった」等々

これらの実情に対応するために改正した内容は
<1>柔軟な育児休業の枠組み『産後パパ育休』の創設
①休業の申出期限については、原則休業の2週間前まで。 現行の育児休業(1か月前)よりも短縮
②分割して取得できる回数は2回。
③労使協定を締結している場合に、労働者と事業主の個別合意により、事前に調整した上で休業中に就業することを可能。
<2> 育児休業を取得しやすい雰囲気づくり、妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認を義務付け
①育児休業の申出・取得を円滑にするための雇用環境の整備に関する措置
②妊娠・出産(本人又は配偶者)の申出をした労働者に対して事業主から個別の制度周知及び休業の取得意向の確認のための措置を講ずることを事業主に義務付ける。
<3> 育児休業の分割取得
育児休業(<1>の休業を除く。)について、分割して2回まで取得することを可能とします。
<4> 育児休業の取得の状況の公表の義務付け
常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、育児休業の取得の状況について公表を義務付けます。
<5> 有期雇用労働者の育児・介護休業取得の促進
①有期雇用労働者の育児休業及び介護休業の取得要件のうち「事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者」であることという要件を廃止する。
②労使協定を締結した場合には、無期雇用労働者と同様に、事業主に引き続き雇用された期間が1年未満である労働者を対象から除外することを可能とする。

施行日ごとに整理をすると
🕗2022(令和4)年4月1日~
・妊娠、出産の申出があった場合、個別に制度等を知らせ、意向確認をする
・育児休業を取得しやすいように環境を整備する
・パートタイマーなど有期雇用社員の育児休業の取得条件を緩和する
🕗2022(令和4)年10月1日~
・産後パパ育休(出生時育休)がスタート
・育児休業(男女とも)を分割取得できるようになる
🕗2023(令和5)年4月1日~【1000人超の企業のみ】
・男性の育児休業取得率等について、公表を義務付け 

 男性の育児休業取得を義務化すべきという意見もありますが、実際には取りにくい雰囲気の職場で制度的に義務化されたら、そもそも妊娠すら躊躇うのではと心配です。そのくらいシビアな現場が、まだまだあるのではと感じます。
 少子化対策とかいう割に、「子育て罰」という言葉が出てくる日本社会のあり方を変えないと、効果が出てこないと思います。出産費用は出すけど、大学の学費は自分で借金してとか、児童手当は出すけど、収入があるならあげません等々、細切れ、矛盾にも見える施策をバラバラやっても、お金をばらまいている割に効果が期待できないです。一貫性のある少子化対策、誰が産んでも、誰が育てても、「子供はちゃんと育ちますよ」と思える社会の仕組みを作らないと、個人にも会社にも社会にも、きちんとしたメッセージは届きません。

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