ひとり親家庭の実態とは

厚生労働省は2022年末に「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告」の結果を公表しました。法務省は共同親権に関わる民法改正案を準備しています。実態を踏まえた法制度にするためには、共同親権の当事者にあたるひとり親世帯への丁寧な実態調査が不可欠です。ですが、例えば、離婚理由は、離婚、未婚、死別の選択肢どまりで、具体的な原因については設問に含まれていません。なかなかつっこんだ実態把握は難しいようです。

調査の結果は、令和3年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(令和3年11月1日現在) で見ることができます。過去の調査結果は、ここから入りやすいです。政府の統計窓口-全国ひとり親世帯等調査 

2021年度の調査項目のいくつかをみていきます。

1 ひとり親世帯になった理由
 👩母子世帯では、①離婚が79.5%、②未婚が10.8%、③死別が5.3%
 👨父子世帯では、①離婚が69.7%、②死別が21.3%、③生別(その他)

5住居の状況
 👩母子世帯では、①賃貸住宅が44.1%、
 👨父子世帯では、①本人名義の持ち家が30.3%

7親の就業状況
 👩母子世帯では、①パートアルバイトが54.6%(2016年の調査では43.8%)、②正規の職員・従業員が27.4%(2016年の調査では44.2%)
 👨父子世帯では、①正規の職員・従業員が56.3%、②自営業26.1%

12 ひとり親世帯の親の帰宅時間
 ひとり親世帯の👩も👨も「午後6~8時」に帰宅する者が いずれも40%台で最も多くなっています。

16 ひとり親世帯の令和2年の年間収入
 👩母子世帯の母自身の令和2年の平均年間収入は 272 万円、母自身の平均年間就労収入は 236 万円、母子世帯の平均年間収入(平均世帯人員 3.18 人)は 373 万円となっている。
 👨父子世帯の父自身の令和2年の平均年間収入は 518 万円、父自身の平均年間就労収入は 496 万円、父子世帯の平均年間収入(平均世帯人員 3.41 人)は 606 万円となっている。

2021年国民生活基礎調査(厚生労働省)」によると、18歳未満の児童を持った世帯の家計💰平均所得:813万5000円。これを100とすると、母子世帯は45.9です。

17養育費の状況 
 ◆養育費の取り決め状況は、
   👩母子世帯の母では、「取り決めをしている」が 46.7 %。2016年42.9%から微増。
 ◆ 「協議離婚」は、「その他の離婚」と比べて養育費の「取り決めをしている」割合が低い。
 ◆ 養育費の取り決めをしていない最も大きな理由については、
   👩母子世帯の母では「相手と関わりたくない」、「相手に支払う意思がないと思った」

母子世帯の貧困の要因の一つと言われているのが養育費の未払いです。養育費の取決めをしない理由が「取決めしたくてもできない」のであれば、取決めの義務化が検討されるべきですが、「相手と関わりたくない」となると、検討の方向が変わってきます。

裁判所の司法統計家事令和2年度「婚姻関係事件数《渉外》申立ての動機別申立人別」によると、
👩離婚調整の申し立て理由は①性格不一致、②暴力をふるう、③精神的に虐待する、③異性関係となっています。これは当事者間の話し合いで離婚ができずに裁判所にいったレアケースです。

令和4年度「離婚に関する統計」(厚生労働省)によると、離婚のうち約9割近くを占める「協議離婚」では、理由は明示されません。当事者間の協議をもって離婚したと言っても、隠れモラハラなど個々の事情は定かではありません。このあたり、丁寧に調査する必要があると思います。

22 ひとり親世帯における中学校・高等学校卒業後の進路 
👩母子世帯は①大学・短大進学が43.7%で最多。
👨父子世帯では、「就労」の割合が最多となっています。
文科省の調査
では、大学・短大進学率58.6%ですから、母子世帯と比べても15%近く低いです。
ひとり親世帯の親の最終学歴別の数字も出している項目もあり、ここからどのような分析ができるのか。

24 ひとり親世帯の悩み 
子供に関しては母子・父子世帯ともに「教育・進学」が圧倒的です。
ひとり親本人の悩みは「家計」。
「教育・進学」に「家計」が必要です。教育は「家庭」「家計」次第になっています。特にコロナ禍は家庭の力が問われ、ひとり親世帯にはかなりきつかったのではとの実感があります。

このような実態調査を通して、ひとり親世帯の子供達への影響など色々な側面が分かり、必要とされる支援がはっきりしてくると思います。

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