文科省「不登校」の考え方をバージョンアップ?

2023年3月31日に文部科学省が各地域の教育委員会に「誰一人取り残されたない学びの保障に向けた不登校対策(通知)」を出しました。①校内外の教育支援センターの充実、②教室以外の学習の成果の適切な評価などについて書かれています。

この通知を親子向け風にまとめたのが「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」です。冒頭、目的は「不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにする」ことと書かれています。ゼロにするのは「不登校」ではなく、「学びにアクセスできない子供たち」。

2018年に「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立して、国としての「不登校」のとらえ方が変わりました。それまで目標としてきた「学校復帰」という文言がなくなりました。

今回の通知も、この延長線にあります。背景としては
✔小中の不登校は約24.5万人と過去最多。
✔90日以上の不登校なのに、どこにも相談していない小中学生が約4.6万人。

 今後、この4.6万人の学びを確保するために、家庭も含めた学校以外での学びを整えていくことになります。
 個人的に興味深かったのは、「3.学校の風土の『見える化』を通して、学校を『みんなが安心して学べる』場所にします」というフレーズです。「~します」ということは、このフレーズの反対が実態ということで、学校の風土は閉鎖的、学校は安心な場所ではない・・・???

 不登校の子供や親は、行かねばならぬ「学校」に行くことができない負い目によって、学校本来の目的である「学び」に行きつく前にメンタルが⤵。単にその「学校」が合わないだけなのに、生活全体、人生全体が息苦しくなることも。本人だけでなく親、家族も。学校に拘れば拘るほど、学べなくなるという悪循環。

 2018年に「不登校」政策が大転換しても、今の校長など管理職は、その前の「学校への復帰」「学校こそが義務教育」の考え方で長年現場で教えてきた方達です。そう簡単に思想を変えることはできない気もします。今回の通知も、堅固な「義務教育」の固い枠を感じます。

 親子で「学校神話」を越えて、「学校に行かなくてもOK」と本気で思い、自分の子供専用の学習指導要領を作るくらいの気合いで、本来の目標である学びには「貪欲」になる。そのために手段である学校や授業をもっと「気軽」に選べるようになり、子供に合った場所、方法、タイミングで学ぶことができるように主体と客体を入れ替える作業が必要だと思います。
 でもそれは、共稼ぎ、ひとり親や事情を抱えた家庭にとってはかなりの重労働になります。伴走してくれる専門家が必要です…。
 それが教育支援センターになるのでしょうか。教員の働き方改革が叫ばれている今、新たな人材を投入しないと無理です。
 子供も先生も保護者も切羽詰まる教育現場の根本的な理由は何なのでしょうか?実態が先を行き、制度が後を追う。今後、義務教育は質的な大転換をせざるを得なくなると思われます。早くしないと。

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